花とゆめCOMICSから出ているあきづき空太先生の『ヴァーリアの花婿』を読んだ。
すべてファンタジーを舞台とした4編を収録した読切集だ。
あきづき空太先生の描くファンタジーは雰囲気作りがとても上手く、グイグイと引き込ませる魅力がある。
4編順に感想を書いていこうと思う。
「ヴァーリアの花婿」
表題作。許嫁だったジルが行方をくらまし、その弟のルセルと繰り下がり的に許嫁になったヴァーリア。
ルセルとの結婚の日が近づき、ヴァーリアはある想いからジルの行方を探そうとする。
ヴァーリアだけでは行かせられないとルセルも同行し、2人のジル探しの旅が始まる。
ポーカーフェイス気味なルセルがとてもかっこいい。
クールだけど決めるときはサラっと言えちゃう所もポイント高い。
そのポーカーフェイスなルセルと対照的に表情豊かなヴァーリアが対比としてとても良い組み合わせとなっている。
ヴァーリアの想いも読んでいてすごい良いな可愛いなと思う。
ヴァーリアとルセルの幸せを祈りたくなるホッコリする作品だ。
「龍の守唄」
150年前から龍の加護を無くした龍の一族の地。
その島の神殿に龍の子と巫女が住んでいた。
龍の子はやがて天龍となり空に飛び立ち、一族の地を豊かにし再び加護をもたらす。
そんな龍の子と巫女のお話。
巫女シュエンは見た目以上に子供っぽさを見せる女の子。
それに対し龍の子キトは大人びていてクール、でもシュエンには厳しくも優しく接している。
こちらも対比が面白いキャラクター構成になっている。
実際にキトとシュエンには年齢差もあり、見た目の身長差もあってカップリングとしてニヤリとさせられる。
キトとシュエンが二人共太眉気味なのも個人的には好きである。
シュエンの子供っぽさを終盤近くまで見せることによって、最後の盛り上がりでシュエンの強さを描いたのがとても良かった。
キトのシュエンへ対しての優しさも盛り上がりを引き立てていて素晴らしい。
優しくて切ない物語である。
「銀世界の証明」
魔導種と呼ばれる魔法を使える種族を管理し、繁栄を築く文明。
そんな魔導種に疑問を持ち、街から離れて暮らす少年アルザと魔導種であるリアのボーイミーツガールなお話。
このお話のアルザとリアはなかなかかみ合わない2人。
その関係がなかなか面白い。
銀世界が舞台ということで、雪である白を基調とした画面が美しい。
そして白を基調としてるが故に、描かれる星の美しさが説得力を持つ。
アルザの過去を描くことによって魔導種という設定をハッキリとさせたのも上手いと思う。
終わりがあるのに始まりを感じさせる、儚くも温かい作品だ。
「おとぎばなしの筆」
乾いた荒野の中に唯一残る緑豊かな地。
その土地は御神木と水神様の力による加護を受けていた。
その御神木を管理する少年湧溪が水神である烙緋が出会い、始まるお話。
烙緋が露出高めで良い。露出高めと指定した担当者さんを褒めたい。
過去から現在へとまるで生まれ変わりのようであり、でも違うんだという続く想いがとても心をあたためる。
花吹と湧渓の関係性、烙緋を縛りそして解放したという流れが時代経過もあってとても好きな部分である。
これは続きが読みたくなるお話だった。
赤髪の白雪姫の新刊を買ってこの読切集が出ていることを知ったんだけど、書店を4軒巡って4軒とも無かったので結局尼で買った。
4軒とも赤髪は売ってたのにこっちは売っていなかった。
初版部数が少ないのか、もしかして赤髪新刊の半分以下なのか。
こんなに面白いんだから、正直ガンガン売れて欲しいという気持ちが強くある。
青春攻略本も赤髪の白雪姫もとても面白く大好きなので、あきづき空太をこれからも応援していきたい。
またこういう読切集が出てくれるのも期待したい。
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